快気祝いと風呂ロック

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今年が半分終わろうという日、昼間、山田美容室の山田さんと原美術館へ行った。
私の場合、作品鑑賞というよりも、いつもあの建物を観に行っている様な気がする。いや、実際そう。で、展示をダダッと見終えて、中庭の見えるレストランで、美術館内のものとしてはかなりお味がちゃんとしているランチを食べ、昼間っからワインを飲んだりするのが、なんかもー大好きなんである。晴れていると最高なんである。

ほんのり酒臭くなった所で、夕方、二人で電車とバスを乗り継ぎ、友人写真家文さんのお宅を目指す。夜、私の快気祝いの宴を催して頂いたのだった。おいこらオマエ、いったいどの面下げて快気祝いだよと、ココを読まれている方は私の退院後の遊び呆けぶりを上げて糾弾される事でありましょうが、ホントにねえ、有り難い事です。
家主の文さんは手料理を沢山振る舞ってくれて、しかもサササッとたいそう手際が良く(料理の手際の良さは頭の良さだなーと思う訳ですね)、そこには当然前日に我々が掘った新ジャガのオーブン焼きなんかもあり、まーどれもこれも最高に美味しかった。

集まったメンバーは、平日夜とは思えぬ出席率の高さで女性7名と男子1名、その内仕事帰りが5人。ははー!(土下座している)Sさんなんぞ片道2時間かけてやってきてくれた。へへー!(額を地面にズリズリしている)本当に皆様アリガトウゴザイマシタ。
お陰様で、怒濤の上半期最後の日を笑い倒して締めくくる事が出来て、とても良い宴でありました。気持ちも新たに「よし、こっから下半期」と思えた。あ、嘘。まんまと終電逃してたった一人宿泊コースの私は実にグダグダで、モヤヤッと、文さん宅のベッドの上で、家の前の道を登校する小学生の気配を感じつつ、下半期のスタートを切ったのだったか。いきなりの堕落。ま、それも良し。

そのくらい「もう、今日、泊まらせてください!」と早々に帰宅を諦めてしまうほどに、初めてお邪魔した文さん邸は居心地が良かったのだった。当たり前だけれど、家のどこもかしこも文さんで、これだから他人様の家に行くのは楽しいんです。皆、ちゃんとその人らしい、その人ならではの暮らしをしていて、その人が生活してきた歴史が垣間見える。自分に似ているところを発見しても、全然違うところを発見しても、とにかくワクワクする。

帰りはバス停まで文さんに送ってもらいがてら、近所の酒屋で自分土産に「多満自慢」という美味しい日本酒を買い、近所の川沿いを二人でテレテレ歩いた。そしてバスに乗ってから、徐々に現実世界に戻った。なんせ前日の洋服のままだし、すっぴんだし、髪は寝癖みたいだし。そんな2009年折り返し1日目。



で、2日目。
下半期一発目のライブは、待ちに待った風呂ロックであった。吉祥寺にある弁天湯という銭湯で開催された蔡忠浩の弾き語りライブ。ゲストはグッドラックヘイワの野村卓史。私的には逃すまじな組み合わせであった。
場所が銭湯だけに、当然入場時は靴を脱ぎ、靴箱に靴を預け、木札を持って脱衣場に入る。流れで思わず脱ぎそうになるも、そこは石けんの匂いでなしに、ココナツミルクの匂いが充満していたので踏みとどまる。(脱衣場でフードのタイカレーとドリンクが売られていたのね)

ライブ会場である女湯の中は、水色の高いドーム状の天井とタイル張りの床と壁、体育座りした足のすぐ横には今にも勢いよく吹き出しそうな真っ赤と真っ青の蛇口、そして真正面には思わず合掌したくなる巨大なフジヤマの絵があり、これぞという感じで「銭湯」であった。奥にある本来は湯船の上には板が張られ、ステージとなっている。見渡して、あれ、何か変だなと思ったら、銭湯にお決まりである洗い場の仕切りも兼ねた鏡が全て取り外されているのだと気が付いた。そうしないとステージが見えないからだろうけれど、そうか、銭湯でライブを開催するって、普通のライブ以上に手間がかかるんだよな、そりゃそうだわ、と遅ればせながら気づく。銭湯でライブ?おもしれーじゃん!でチョチョイと出来るもんではないのだ。改めて主催の方々に最敬礼。

して、ライブ。
やんわりとアウェイな空間で緊張気味に見えた野村君の演奏もソロで聴くのは初めてで新鮮だったし、同じく初めて見る蔡君のギター弾き語りも、途中ギターやら歌詞やら、何度間違ったかわからないくらいで(しかも持ち歌でね・・・)、後半はさらにグダグダになっていたけれど、なんだかんだ言っても、やはりこれが私の一番の理想型なんだとわかった。

私は彼の歌が好きなのだ。bonobosももちろん好きだけれど、私が好きなのはこの人の歌なのだ。1曲目の浜田真理子のカバー『のこされし者のうた』と、2曲目加川良のカバー『教訓』でそれを確信した。私にとって、昨日のライブの肝はこの2曲。これが聴けた段階で満腹。その位、歌い手としての彼の説得力をシャワーの様に全身に浴びた気がした。と、銭湯だけに上手いことを書いたりしてみる。いや、冗談抜きで銭湯のナチュラルエコーがまた「何だ何だ」という位良かったのだ。風呂ロックを思いついた人、本当に偉すぎです。

bonobosのボーカリストとしてオリジナル曲を歌うというのはもちろんだけれど、蔡君にはこんな風に、初めて耳にしても言葉が心にしっかりと届く歌を、ジャンル問わずもっとどんどん歌って欲しいなあと思う。歌ってしかるべき人であると思う。

他にも新譜から数曲(これが弾き語りの方が良かったりして)、カバーも「中央線」や「いちょう並木のセレナーデ」 、どいちゃん祭りぶりの「ラヴ・イズ・オーヴァー」、野村君との「ネバーエンディングストーリー」、ラストの「いい湯だな」などなど盛り沢山な内容だった。蔡君曰く「すちゃらか」した野村君の音が、「いい湯だな」にハマリ過ぎていて笑ってしまった。

予め準備されていたクッションを敷いているとはいっても、そこは冷たく固いタイルの上、お尻は痛いわ、身動き取れないわ、トイレも行けないわで久しぶりに窮屈な小劇場感を味わったけれど、そんな事など気にならない楽しさだったので無問題。行って良かった。とにもかくにも、こんな面白い企画はなかなか貴重なので、ぜひ今後も続けて欲しいと切に願います。

撮影可だった男湯にあったレトロな体重計(左)と終演後の弁天湯前。アンケートに答えると先着100名までコーヒー牛乳が貰えました。太っ腹!!
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余談ですが、この日は終演後サクッと引き上げ、阿佐ヶ谷に向かう中央線車内で、バービーボーイズのKONTAがお向かいに座っているというオマケまであり、豪さんの「バンドライフ」を読んでいる身としては、顔には出さなんだが脳天から湯気がでそうなほど大興奮の私であった。中央線バンザイ。


あ、そうそう、楳のおハゲ問題ですが、ほぼ完治しました。良かった良かった。
でもヤバ顔の楳。
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オマケの2曲(オリジナル)。本当に素晴らしかった!
浜田真理子『のこされし者のうた』


加川良『教訓』



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by sakamotochiaki | 2009-07-03 19:41 | ◎こんな日々 | Comments(0)