圧倒的な存在を前に、人は泣ける。

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私の日記を読んで下さる方ならばおわかりと思いますが、坂本は洋楽つーものに、殆ど縁の無いまま38年生きてきた様な人間であります。
というのは、まず思春期に、そういう環境に無かったというのは大きいと思うのであります。例えば、家に帰れば隣の兄の部屋から嫌でも聞こえてくるビートルズ、という様な事もなければ(そもそも一人っ子)、「これ聴いてみな」と邦楽以外を薦めてくる様な友人もいなかった。あ、唯一埼玉に暮らす1つ上の従兄が、そんな田舎者(中1の坂本)を見かねてか、「邦楽ばかり聴いていないで洋楽を聴け!」とカセットテープを2本、編集してくれた事があった。ビリー・ジョエル、スプリングスティーン、カルチャークラブ、シンディー・ローパーなんかが入っていた。「We are the world」と、「Do they know it's christmas」も入っていた。私にとっては、あんまり珍しい事だったので、これらの曲は今でもちゃんと覚えている。

けれど、そこから私が洋楽好きに転じるという所までは行かず、従兄の策略は失敗に終わったのだった。さらにこれまで再三にわたり書いてきた様に、青森という所は見られるテレビ番組が非常に少ない場所で、それはもちろん音楽番組も類に漏れず。外タレが出演する事が割と多かった「夜のヒットスタジオ」などは、深夜0時を回った時間に放送(当然録画VTRね)されていたりして、中学生には酷な時間であった。
「ベストヒットUSA」もそう。確かあれも相当深夜に放送されていて、ごくたまに、親に隠れてヘッドフォンをして見ていた。何だかわからないなりに、でも「物語仕立て」でお金のかかったプロモーションビデオが新鮮で、だからその時、見ていたものだけは、今でも覚えている。マドンナ、ヒューイ・ルイス、シンプリー・レッド(当時はコレを人の名前だと思っていた)、a-ha、ピーター・ガブリエル…正直、これで出し切りました!という感じ。(これで今後は「洋楽何聴いてた?」という質問を浴びせられずにすむだろうか)

だから、私の洋楽原風景といえるのは、82年前後のベストヒットUSAと、夜ヒットの外国ゲスト枠と、従兄のカセットテープくらいしかないのだ。あまりに薄っぺらく、どうしようもない止まりよう。故に、東京出身の友人なんかが、当時a-haの追っかけだった、とか、家族で「スリラー」のPVを観て盛り上がったとか、それでムーンウォークを姉妹でマスターしたとかいう話を聞くと、もうそれは驚異でしかない。そちら側とこちら側の間に深くて長い川を感じてしまう。


とまあ、そんな私ですら、知っている曲ばかりなのだ、マイケルの曲は。
その恐ろしく短い期間しか見ていない「ベストヒットUSA」でも「スリラー」は何度も見た。彼に対して、今までこれと言った強い思い入れがある訳ではなかったけれど、むしろ様々なスキャンダル的要素のせいで、茶化しこそすれ、彼の才能や、これまでの功績について、深く考える事も無かった。
けれど、彼の歌は知らないうちに耳にすり込まれていたんだと、今日思い知った。凄い、マイケル。凄いとしか言いようが無い。「マイケル買いした~い」とか言って、そんな私ごときが茶化せるような人では無かった。

マッチョで、恐らくやマイケルの年齢の半分くらいでしかないだろう若いバックダンサー達の中で、あんなにか細く、ひょろひょろとしたマイケルが、誰よりもキレのあるダンスを踊り、息が上がる事もなく歌うのだ。それも、口パクか?と思うほど正確に、昔と変わりなく、ゾッとするくらい上手く。そして常に冷静に、全体を把握し、演出していく。その言葉の一つ一つが、あまりに的確で、真摯で、愛に溢れている(この言い方もなんだが、でもそうなんである)ので、誰もが納得してしまう。

想像を絶する、この世のものとは思えない様なショウが、こういう形で未完のままの幕引きというのが、改めて信じられないほど、圧倒的な存在が、そこにあった。真のスターというのは、こういう人を言うのか。お前ごときが泣くな、という感じだけれど、声の素晴らしさに泣き、カッコ良さに泣き、最後は何かわからない涙がドードーと流れた。この大きな存在が、もういないという事実も、今さら思い知ったのだ。

マイケルと、その最後のショウに、文字通り人生を賭け、関わった人も多かったはずで、その人々のショックも到底計り知れないが、結果として幻となってしまったとしても、あれほどの夢のような、人生の財産となりうる時間はなかったのではないだろうか。後々、こんな形で発表されるとは思っていなかっただろうけれど、こうして貴重な映像を見る機会をくれた事を、本当に感謝したい。

ところで、会期も2週間延長とアナウンスされたせいか、本日の新宿バルト9の午前9時の回は「え!」というくらいガラガラであった。500人規模の場内にせいぜい50人くらいか?会期の後半は混雑すると思うので、ぜひ早めに観に行きましょう。あれは映画館で(しかも音の良い所)観ないと、ダメ!ぜったい。

ああ、もう一回行きたいなあ。

今日はマウスを買い換えたため、とても勝手が違って、イラストが描き辛かった…慣れるまで時間がかかりそう。



あんまりカッコイイのでこれものせてしまう。



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by sakamotochiaki | 2009-11-04 18:38 | ◎こんな日々 | Comments(2)
Commented by しみず at 2009-11-04 19:28 x
千明さん! マイケルの素晴らしさを共有できて嬉しい〜よ〜。
私が言いたかったこと、このブログがすべて言い尽くしてくれたよ。
映画代で見て良いのか?という疑問が生じるぐらいの豪華な内容。
とことん人を楽しませるための演出!
マイケルがかっこよすぎ〜!!
映画でも十分かっこよいけど、若い頃のマイケルなんてドキドキするぐらいステキだったもん。私、もともとブラックミュージック好きだから、特に思うのかもしれないけど。

そっか、新宿バルト9はねらい目ね! もう一度見にいかなきゃ!!!
Commented by sakamotochiaki at 2009-11-04 20:17
しみずさん
本当に観に行って良かったです!!
しみずさんが、ハードスケジュールの中、観に行かれているの知って、やはり行かねばならん!と思ったんです。ありがとうございました。
DVDも買うだろうけど、映画館で観なきゃダメですね、あれは!

言葉の一つ一つ、動きの一つ一つ、ちょっとしたハミングに、クラクラするほど魅せられました。こんな人が本当に実在したのか、と信じられないくらいでした。あと、並々ならぬサービス精神にも感服。
それは自分を待っているファンへもそうだけれど、スタッフへも惜しみなく注がれていて、何だこの人は聖人か?本当の聖人か?と思いました。
神々しいと感じました。

ショウは本当に残念でしたが(完成したものもぜひ映像を見たかった!たぶん失神ものでしょうね)、関わったスタッフ達が、心から羨ましく思いました。なんて贅沢なリハーサル!!あの場が既に夢の世界でしたね。

バルト9、今日の初回は予約不要ってくらいでしたが、
確実に観るには、やはり予約が良いかもです。

これを機に、以前のライブも観たくなり、ルーマニアブカレストのライブDVDを友人(山田美容室山田さん)から借りることに。楽しみだなあ。