途方に暮れながらも「愛」

持ち出してばかりで恐縮なれど、石井ゆかりさんのここ最近の「週報」で、やたらと「愛」が出てくる蟹座の坂本である。普段ならば流し見てしまうところであるけれど、今はどストライクに受け止めざるを得ない。

もう書かないなどと言っていたものの、書かずにおれなかった。とはいえ、やっぱり考えている事の半分も言葉に出来ず、もどかしい。
昨日3度目の「THIS IS IT」を観てきた。理解のあった家人も、もはや100mほど遠くまで引き潮だ。しかもはるばる川崎のIMAXシアターへ。さらに緊急特別上映の「MOON WALKER」とハシゴして。
こんなにウズウズやきもきする位ならば、もういっそ早いところ上映終了してくれ、と身勝手な事を思ってしまう程であったが、ちょうど一週間前、2度目を見終えた工房くらげの直ちゃんとマイケル談義で炎上し、共に3度目を観ようじゃないか!という事になったのであった。どうせならば彼女オススメであるIMAXシアターで、と。

いやIMAX、凄かった!行って良かった!川崎はイイもの持ってる!スクリーンの大きさ、音の良さ、迫力がすんばらしかった!お陰でエンドロールで、これまでの数倍泣き、止めることが出来ずしゃくりあげてしまい、映画が終わって客電が点いてからもしばらくは、私も直ちゃんも立ち上がれない程ボロボロであった。
特に私は1,2度目とも、朝っぱらの回を観ていて、まだ高まりきれずにいる観客の体温を少し残念に感じていたので、念願の夜の回鑑賞で、やはり会場の「気」が一層強く感じられて嬉しかった。会期終了間近の週末最終回というのもあるだろうが、皆真剣。リピーターも多かった事だろう。直ちゃんの隣席の女性は、常に前のめりで鑑賞していた様だったが、上映中、終始完璧にマイケルと同じ振り付けで、小さく体を動かしていたというから凄い。ダンサーなのかもしれない。

さて、私のこの所の沈んでいた気持ちは、1度目鑑賞以降、マイケルに関する様々なものを見てきたせいにある。素晴らしいライブ映像やPV、スピーチ、数々の過去のゴシップに関する記述、裁判のリポート、近親者のインタビュー、もちろんそれらは到底フォローしきれる量ではないので、ほんの少しをかじっただけであるけれど。
そこで私は途方に暮れてしまった。

ずっと好きだった表現者(音楽家でも、美術家でも、俳優でも)をある日失うという事は、今まで生きてきた中で、想像したり、実際に経験もしてきたけれど、好きになったその人が、しかしもうこの世には居ないという経験は、今回が初めての事だったからだ。素晴らしい人を知り得た喜びと、同じくらいの悲しみと後悔を同時に感じるのだから、もう心が混乱して仕方がなかった。しかも、そうなる前に、いくらでも知り得たものであったのに、という事が、なおさらショックだった。残された作品はいくらでも耳に出来、それを順を追って知っていく事はとても楽しく、幸せな事だけれど、同時にそれはそこはかとない悲しみに直結していた。
こんな事を私ごときが書くのは全くお門違いである。それもわかっている。他国に比べても格段と数多く行われてきた過去の日本公演を思うと、今さら「ああ、一度ライブを見てみたかった!」とは、今はもう簡単には言えない。ネットで見かけた古くからのファンの方がアップされていた「にわかファン」と「出戻りファン」へのメッセージには、本当に返す言葉もなく、見事に落ち込んだ。その言葉の一つ一つは、一見乱暴で、八つ当たりの様にも見えるけれど、全て真理を突いていると思えたし、大きな指標を失ってしまった彼らの叫びの様だった。

事実として、私はこの映画を観なければ、その存在にずっと気が付かないままだっただろう。マイケルが亡くなっていなければ、この映画も存在しなかったであろうし、そして万が一、彼が生きていて、ロンドン公演が成功を収め、後に日本公演が実現したとしたら、そこに私が足を運んでいたかどうかといえば、運んではいなかったと思う。それに対しては自分でも複雑で処理しきれない気持ちで胸が詰まりそうになる。未来を、後悔してしまうのだから。こんな風に、無知により、私は過去にどれだけの損失や、過ちを繰り返してきたのだろうかと考えると気が遠くなる。

ここを訪れて下さる方々ならばご存じとは思うけれど、私は日頃から、メディアの取りあげる様々なゴシップを見るのも好きだし、それをさらにほじくって調べたり、茶化したりして生きているタイプの人間であるし、そもそも私自身、そんなメディアの中で働いて、生計を立てている。(だからそれら全てを否定する事は出来ないし、必用なものであると思っている)
マイケルに関しても、メディアで取りあげる領域を超えて興味を持つことも無かったし、笑いの対象にしてばかりきた。そんな人間が何を今さらという感じではあるが、その事実が、この所ずっと自分をおとしめている。

けれど、だからこそ、伝えられる事もあるのだと思うのだ。私の様な「にわかファン」がアホみたいに騒ぐ事を面白く思わない人もいる事を承知で、しかし、亡くなってからでも、彼の素晴らしさを伝える必要があると強く思う。
マイケルの数々の奇行や、容姿の変貌、世に出回る疑惑や謎を数え上げたらきりがないが、正直に言ってしまえば、そんなもの彼の歌やパフォーマンスの前においては、何の問題であるだろう。本当にどうでも良いことだと思える。彼が成しえた業績や与えてきた感動と比べることなど出来ない。そう思う。
亡くなってからもなお、様々な憶測や情報が後を絶たないが、真実など誰にもわからない。それを考えると暗澹たる気持ちに支配されそうになるけれど、スクリーンの中で歌い踊るマイケルの、拍子抜けするほど素直な笑顔を見れば、ただただ幸せになれる。
しのごの書き連ねたけれど、しごく単純に言えば、

マイケルはとてつもなくカッコイイんだぜ!!

という事でしかない。それを知らずにいる事は、本当に勿体ない事である。昨日も映画後、直ちゃんとも話したけれど、あれほど長くトップスターで居続けた人が他にいるだろうかと考えても浮かばない。
お金もかかる事であるし、インフルエンザの蔓延するこの季節、混雑する場所へ行きたくない人も多いだろうし(この私がそうだ)、これまでは強く書いてきたつもりはないのだけれど、上映も27日までである。もうすぐ終わってしまう。「DVDでいいや」なんて言わずに、ぜひ映画館に足を運んで、あの臨場感を体感して頂きたい。レディースデーでもシネマチネでも何でもいい。20日前の私と同じ様に、マイケルになど殆ど興味もないという人は特に。マイケルの一挙手一投足、言葉の一言一言を見届けて欲しい。彼の復活をかけ、歴史に残るライブを作り上げようとした多くの人々の熱意と真摯な姿を知って欲しい。

「愛」という言葉を使う時は、とかく気恥ずかしく感じるものだけれど、こんなにも真っ向から訴えかける人を前にした時、そんな自分を素直に恥じる。私の様な人間が言うのだから、嘘は無い。

今はただ、どうか安らかに、という気持ち。それしかない。



ビル・クリントン就任式でマイケルが歌ったgone too soon。エイズで亡くなった友人ライアン・ホワイト君(私と同じ1971年生まれだそうです)への追悼曲として作られた曲。



ようやく見る事が出来る様になったマイケルの追悼式映像で、USHERが歌ったgone too soon。



ジャーメインが歌うsmile(マイケルがカバーもしていたチャップリンの曲)。マイケルのトレードマークの手袋が。

町山智浩さんが、ご自身のブログで追悼式の事について、町山さんらしい言葉で書かれていました。一部抜粋。
「チャップリンの生涯とマイケル・ジャクソンの生涯には共通点があまりに多い。
二人ともいつまでもこどものような大人を演じ続けた。
二人とも、いつも白塗りの顔にアイラインを入れたピエロの顔をしていた。
二人とも、ヘンテコな歩き方がトレードマークだった。
二人とも、作品では愛と平和を訴えながら、私生活ではペド呼ばわりされ、裁判にもなった。」


マイケルが続けてきた慈善活動をまとめた映像。いったいどれだけ与え続けてきたのだろうか。
音楽はHeal The World 。We Are The Worldの時から、訴えていることは少しも変わっていないのだよね。



※今日もマウス絵無しです。スイマセン。


追記。筋金入りのマイケルファンとして有名な和田唱さんのブログにも感動しました。
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by sakamotochiaki | 2009-11-21 14:47 | ◎こんな日々 | Comments(2)
Commented by しみず at 2009-11-22 14:37 x
IMAXシアター、すごいよね!! 普通の映画館とは全然ちがう重低音の響きはR&Bには最適と思う!! マイケルが等身大にスクリーンに映るところもGOOD!! 千明さんにも体験してもらって嬉しい〜!!
和田唱さんのブログも拝見しました!!
彼が書いてた下り「コンサートでの動員以上に、映画になって彼の伝えたかったことがより多くの人に伝わった」というのは私も思ったことだわ。
死んでまで「愛」の人なんだなぁ。(慈善活動の動画、泣けるね)
Commented by sakamotochiaki at 2009-11-22 15:36
しみずさん
いやー、やるな!川崎!と思いましたですよ。
IMAX、もっと増えて欲しい!
後方の座席だったせいもありますが、背後からくる音に特に実感しました。
さすがに2本観て、背中が痛くなって、帰りの電車でもグッタリしてましたが(目が腫れてるし)、でも行った甲斐がありました。
友人などは千葉から行ってましたから、私なんかまだ楽な方ですが。

和田唱さん、日本公演も観ている筋金入りマイケルファンで有名なんだそうで。
今まではトライセラトップスのボーカル、和田誠さん×平野レミ夫妻の息子さん、という知識しかなかったもので、驚きました。
もう1人、NONA REEVESの西寺郷太さん(マイケルの本も出していて、今日、図書館に予約しました。30人待ちだったけど)と二大マイケルオタクだそうです。
2人のトーク、ありました。(マイケルが亡くなる前ですが)
http://musicshelf.jp/?mode=static&html=special38/index

本当に彼のブログを読んで、頷いて、凄く救われた気持ちになりました。
悲しいばかりでなく、もっと前向きな気持ちになれるというか。