春の旅

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相変わらず版画制作の日々であるが、昨日はいつも工房でご一緒する安本洋子さんと吉村正美さんの同時開催中の個展に行って来た。
工房でギリギリまで頑張っておられたお二人の作品を一堂に拝見出来て、とても有意義であった。会場にいらっしゃった安本さんとお話ししていて(安本さんはいつもコレと特定出来ない不思議な生き物を描かれるのだけれど、その誕生のキッカケ話とか、ドローイングを制作している時、まるで子供の様に熱中してしまう話とか、凄く面白かった!)沢山のヒントも頂く。

写真は安本さんの展示風景。初めて見る色鉛筆で描かれたカラフルなドローイングが新鮮。
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銀座のギャラリー悠玄にて。会期は11日(日)まで。


このギャラリーに来たら寄らずにはおれないオーバカナルでしっかりとパンを買い込み、この日は表参道に展覧会をもう1つ。RAT HOLE GALLEERYで開催中の荒木経惟『センチメンタルな旅 春の旅』。
この3月に人間であれば105歳で亡くなった愛猫チロの写真展。ギャラリーのサイトにあった写真を見ただけで、かなりマズイなあとは思っていたけれど、やっぱり行ってしまった。会場には先に同年代くらいの女性客がいて、私のずっと先の作品を観ながらグスグスと鼻をすすり上げていて、ますますこれはマズイなあと思った。そんな状態であったので、最初に目に飛び込んだチロの姿が、もはや私が知っているチロ(「愛しのチロ」などの)とは違っていて、もうそれだけで鼻の奥が痛くなってしまった。ガランと広いギャラリーに、ユニゾンで「鼻すすり上げ」を奏でるのも躊躇われたし、頑張って音出しは堪えていたが、涙も鼻水も汗も容赦なく流れた。

何とか引き潮を待って(女性も同じく待っている様だったが、私より時間がかかっていた模様)、迷ったが、チロへの香典だと写真集を買って帰った。
小雨の中、中国語だかハングルだかしか聞こえてこない表参道を原宿までグラグラしながらも歩ききって、電車では思い出し泣きの波を堪え、やっと家に帰り着いて、この所玄関にお出迎えしてくれなくなった楳を抱っこして、無理矢理頬ずりしてやった。ら、前足をぐーっと突っ張られて頑に嫌がられた。楳は抱っこが嫌いな猫なのだ。ううう。それでもしつこくグリグリ撫でたらガブガブと噛まれた。本気で。うううう。

しばらくしてからビニールパッケージを破いて、買ってきた写真集を見直して、また泣いた。今度は音出しも存分に。1人と1匹の間に流れる空気が生温かく伝わって来た。体から魂が離れて、もうそこにはいないのだという事までハッキリと写し取る写真の凄さと悲しさも。「寝てるみたいだね」ていうのは、あれは噓だなと思った。
チロはずっと荒木さんの傍に居て、猫としては仙人レベルの大往生であった。凄い事だ。凄いよチロ。そして数年前、田中泯さんの場踊りで、まさに「一騎打ち」という鬼気迫る姿を見せてくれた荒木さんを思い出す。あの他には無い独特の放射熱を思うと、真逆の様な穏やかなモノクロームの世界に、何だかますます泣けるのだった。

家人には「私が居ない時に見るが良いよ。きっと泣くよ。」と言ってある。
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夕方シャワーを浴びて廊下に出たら、楳がペタンコになって待っていた。脱衣場所のドアが見える場所で、私が風呂に入るといつも待っている。この見事なツンデレにまた泣ける。
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我が家の駄猫楳が何歳まで生きてくれるかわからないけれど、生きられるだけ生きてくれたらいいなあ。



さて、今日は楳を月1のフロントラインして、あとはひたすら仕事だ。

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by sakamotochiaki | 2010-07-08 09:07 | ◎こんな日々 | Comments(2)
Commented by しみず at 2010-07-08 11:01 x
えっ、あのチロが!? と思考停止になった。
「愛しのチロ」の初版が1990年でしょ。ということは20年生きたんだね。
長生きでびっくりしたのと、死んでしまったことにびっくりした。
写真展は7月18日までかぁ。私も時間つくって行きたい!!
Commented by sakamotochiaki at 2010-07-08 11:38
しみずさん
そうなんです。訃報を知った時は呆然としてしまいました。
同じ様に長生きだった事にも、死んでしまった事にも。
お時間あればぜひ。
そして今日、昨日のチロを見た事が虫の知らせだったかと思う様な事が起こりました。はふう〜。
詳細はまた改めてここで書きます。