手縫いの夜

楳の抗がん剤治療を止めてから半年、免疫力をあげるべくサプリメントを与えたりしているものの脇の下のしこりは治療中に比べると、やはり少しずつ大きくなってきている。
さすがに本人も気になるらしく、ついつい舐めまくってしまい、ほんの少しだが出血したりして、少し前に病院に相談にいったところ「エリザベスカラーという手段もありますが、洋服を着せてみるというのはどうでしょう」と言われる。

よ、洋服...
何を隠そう「犬猫に洋服」というのが昔からどうにも抵抗があった。その時医師には「ああ、まあ、ははは」と適当な返事をしながらも「無い無い無い。断じてそれは無い」と心で思った。だってそんな事は楳にとってもストレスに違いないし、エリザベスよりはマシかもしれないけれど、第一服を着せる事で腫瘍が無くなる訳じゃないのだから、それはずっと着せ続けるって事で、もーそんなの絶対に嫌だ〜と。

けれど「あんたもネットで売られてるみたいなファンシーな格好させられたくないよね?だったら舐めるの止めようね」と楳に毎日話して聞かせたところで、舐めるのをやめてくれる訳も無く、むしろ脱毛面積が広がり始めた。「こら!舐めちゃダメ!」とか怒られる度にビクッとされたり。
いやもしも自分の体に同等サイズのしこりがあったらそりゃあ気になって気になって一日中眺めるか触るかして、触り過ぎて出血して、さらに傷を掻き壊し、仕事する気も無くなるし、食欲も失せるだろう。自分で気をつけるなんてどだい無理な話だ。それも私が始終注意して見ていられれば良いけれど、寝ている間、留守にしている間はどうしようもない。

ああ、大病を前にして今さら見てくれやら私のポリシーなんてもーどーでも良かった。この期に及んで考えが甘過ぎる。今ある楳のストレスをほんの少しでも軽くする事が一番じゃないか。いやもう楳にとってのストレスが何であるかなんて、本当のところ私にわかるはずもなく、それを全て解消するなんて出来もしない。全てはなから自分の勝手でやっている事なんだ。たとえ洋服が根本的な解決では無いにしても、やらないよりはきっとずっとマシだ。と突如吹っ切れ、勢いで風呂上がりに着ようと思っていたTシャツにハサミを入れた。

でチクチクと2時間やって、完成。
c0138553_0283112.jpg

なんせ思いつきで採寸もせず縫い始めてしまったので色々細部はあれですが、家人から私にお下がりしたタオル地Tシャツの袖部分のリメイク。

で早速着せてみた。
c0138553_0355917.jpg

ひっつれまくって(当たり前)、袖も長過ぎて、動きづらいのか歩き方もヨボヨボしてるけれど、意外や「脱がせろー」という抗議もなく、むしろ着せた瞬間、楳にしては珍しくゴロンとと床に伸びてゴロゴロ言うので驚いた。ネットで飼い主の古着を使えば、匂いで安心するから良い、というのを見てリメイクにしたのだが、本当にそういう効果があるのかもしれない。袖は後でカットするとして、これは結構いけるか。
しかし下る事は出来ても上れないらしい階段を。なので明日要改善。

懸念している色々がこんな風に「なんだ案外大丈夫じゃん」という事はよくあるけれど、その都度ある程度の勢いや思い切りは必要で、でもまずはやってみるしかないんだな。明日も懸念している事の第一歩が待っている。まだ迷いもあるが、ともかく一歩踏み出してみる。



今日は何気なくネットを徘徊していて、絶望的な気持ちになったり、こんな風に壁を取っ払うキッカケを貰ったりした。そのキッカケをくれたのはミロコマチコさんのブログ。ここしばらく覗いていなかったのだけれど、私の猫先輩であり、楳の名付け親でもある直ちゃんが教えてくれた。沢山沢山思う事はあるけれど、とにかく読む事が出来て良かった。ミロコさんにも直ちゃんにも感謝。

そして直ちゃんこと清水直子さんの個展は西荻のFALLにて明日まで。ぜし。
写真は今日買った直ちゃんのオブジェと、帰りに寄ったポチコロベーグルの人参ケーキ。
c0138553_161577.jpg


ポチコロもかつて出店していたオトノハ朝市も明日開催。
坂本も絡んでいるアサガヤデンショの出店もあります。こちらもぜし。
[PR]
by sakamotochiaki | 2012-05-27 01:30 | ◎楳猫 | Comments(0)