昨夜の出来事

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一年中ずっとこうだったら良いのに。
てくらい爽やかなお日和の昨日、日没まではアースガーデン@代々木にて工房くらげと絵かきのなよごんのお店でチェーンイーティン&ドリンキンし、6時過ぎに青山『月見ル君想フ』へ移動。SOURを見たさに当日参戦を狙っていた家人だったけれど、仕事が長引いて断念したため、結局私単独参戦。そういやライブハウスで一人って久しぶりで、『月見ル〜』に行くのも初めてだったので色々といちいち新鮮。2フロアに別れた広くも狭くもない実にちょうど良い空間だったのと、ビールもペコペコいうプラコップじゃなくて、ガツンとジョッキでくれるところがとても気に入った。途中から重たかったけれども。

初SOURは良かった。3ピースバンドってカッコいいな、と思った。
ZAZEN BOYSみたいに、変則的なリズムにカクカクさせられる感じが気持ち良し。楽器の一種の様なボーカルもCDで聴いていた以上に味がある。『Sink Town』の後半と『半月』の出だしは鳥肌立ちました。

2番手は朝霧ぶりのキセル。
これまで何度か彼らのライブをみているけれど、兄が誤摩化し不可能な大胆さでもって歌詞を間違えるというのは初めてだったのでウケた。「あれ?」って言って曲中断。しかも新曲でキセル史上一番暗いという『君の犬』。
病み上がりのせいか、やけに大量の汗をかいていた兄いわく「頭がショートした」らしい。珍しく弟に「あー、頭(髪型)ショートしとるもんね」「家で練習してるのかと思ったわ」と厳しいツッコミをされていた。イイもの見たな。
所々で朝霧の残像フラッシュバック。あの空間はやっぱり異空間なんだという事を改めて思う。

3番手のGROUPは男前で迫力のあるライブだったけれど、私的には面白みという点で今ひとつ弱し。まあ、面白みが必要なジャンルでも無さそうだったけれど。私は男前よりも味のある男が好きなんだね、という事ですか。

でライブ後、外苑前から原宿までガツガツと歩いたせいで、高円寺に着いたのは11時近かったのだけれど、パル商店街を歩いていたら、閉店した店のシャッターの前で車椅子の婆(御年80歳くらいか)を発見。よく見るとその前に座り込み爆睡する爺(婆よりは若く見えるが)も。一旦は数メートル通り過ぎた。が、やはりどうにもこうにも気になったのでヘッドフォンを外して引き返す。私と同様に気になったらしき通りすがりのオバハンもやって来た。

「どうしましたか?大丈夫ですか?」と婆に聞くと

「いえ、酔っぱらっちゃって‥‥大丈夫ですから。」と答える。

爺は車椅子の婆を連れてどこかのお店で泥酔した後、地べたで爆睡してしまっているらしい。
「寝ているだけなの?意識はあるの?具合が悪いんじゃないの?ここまではどうやって来たの?」と聞くと、なんとなく腕を動かしチラリと顔を上げる爺。良かった、とりあえず意識はあるらしい。本当にただ泥酔しているのだ。婆は阿佐ヶ谷から来たと言う。大丈夫ですから、行って下さい、すみません、心配かけて、と。
ひょっとして逆に迷惑か?という頭も無くはなかったので、オバハンとまた一旦そこを数メートル離れるも、車椅子から婆がヨロヨロと手を伸ばして爺の肩を力無く揺するも爺が目覚める気配はない。‥‥だーもー。って感じでまたオバハンと駆けつけ、

「やっぱりタクシーつかまえましょう。すぐそこで拾えるからその方がいいよ。」

と婆に言った私の声で、爺がようやく顔をあげた。

爺「お。おねえちゃん、どっかで会った事あるな。」(ろれつ回転数低し)
私「あのね、それついさっき。
  阿佐ヶ谷なんでしょ?タクシーで帰った方がいいよ。 
  一緒に拾ってあげるから。」
爺「大丈夫だよ〜いつもちゃんと帰ってんだから〜。」
私「だって立てないじゃん。無理だよ。はいタクシータクシー!」
爺「ん?おねえちゃんの車じゃないの?」
私「私車持ってないっつーの!」

という会話を10分ほど繰り返した後、ようやく爺が生まれたばかりの子馬の様に不安定ながら車椅子でつかまり立ちしてくれた。しかし相当におぼつかない。ささ、タクシー拾いましょ!と移動しようとしたが、爺が「金、持ってるよな。」と婆に聞き「知らないよ。」と婆。「んな事ないだろがよ。」と婆の膝の上にあったハンドバッグを取って、中身を確認して「うん、ダイジョブだ。」と言った爺が、大通りに背を向け、阿佐ヶ谷方向に伸びる路地に車椅子を押し出した。ちょちょちょ、タクシーは?!と言っても爺は頑に、歩いて帰る、いつも歩いて帰っているのだといってきかず、車椅子ジグザグ歩行を開始する。アワワワと横に引っ付き歩き出す私。明らかに帰る方向が違いそうなオバハンに「もういいですよ。私も阿佐ヶ谷なんで着いていきますから。」と言い、「そう?大丈夫?」と不安げなオバハンと別れた。
もう乗りかかった船というか、ここで放って後々何かがあった時の方が気分が悪いというか、諦めというか、ヤケクソというか。

すると婆は「申し訳ない申し訳ない」を繰り返し、爺は「おう。おねえちゃん連れてってくれ〜い」とか言っている。私が浜ちゃんなら容赦なく頭をパコーンと叩いてるところだ。
路地は飲み屋が連なっており、居酒屋前にたむろする若者達をかき分けて、ジグザグ進む爺、で、たまに車椅子から手を離しちゃう爺。でも爺から車椅子を奪うと自立歩行不可能なのでそうもいかず、「アワワ、アワワワ」と横に引っ付きながら歩いて数メートル。突然爺がまた車椅子から手を離した。ゆるゆると傾斜にまかせて進む婆を「アワワワー!」と追いかけて救助する私をよそに、すぐ横にあったスナックに1人入って行く爺(なんだよ歩けんじゃん!)、馴染みらしき(今日もここで飲んでいた?)スナックのママに「よ!今日は帰るからよ」とかご丁寧に挨拶している。その間婆放置。おーーーい。
するとママが出て来て、車椅子横の私を見て何事かと聞いて来たので事情を話すと「いつもこうだから大丈夫」と言う。何が。つーか、アンタ飲ませすぎだろーが。

と、突然そこに、まさにヒーロー登場の場面よろしく若い警察官が何処からともなく現れた。私、警察官に後光がさして見えたの、初めてかも。た、助けて、お巡りさん!
どうやら先のオバハンが呼んでくれたらしかった。私だけじゃ相当不安だったのだろう。ま、そりゃそうだ。しかし

「ケーサツが何の用だああ。」

と噛み付く爺。

「おれあーいつもちゃーんと車椅子押して来てんだよお。大丈夫なんだよお。」

結局はケーサツ官と私になだめられ、途中まで一緒に帰ってもらう事になった。後はケーサツ官にお任せして、ここで私はお役御免となった。あ、良かった。夕飯食べてないし空腹でフラフラだったの、実は。
「ご親切にすみません、すみません」と私がその場を歩き出しても背後から婆の声が聞こえた。


爆睡していた爺が目覚めた時、オバハンが

「車椅子押してるのに、お酒なんか飲んじゃだめよ。」

と言ったので、私も

「そうだよ、こんなになるまで飲んじゃダメだよ。」

と言ったのだけれど、一人になってからちょっと後悔した。
普段、おそらく爺は殆ど一人で婆の面倒を見ているに違いない。見た目から判断するに、生活はそんなに楽じゃないだろう。タクシーに乗らなかったのも、ハンドバッグの中の所持金が乏しかったのかもしれない。爺だって高齢だし、自分の体の面倒も大変だろう。お酒くらい好きに飲ませてくれ、ぐてんぐてんに酔わせろや、って話だ。

この爺婆は普段東京に暮らしていて、去年大病をしたため、体が少し不自由になった父親の面倒を、田舎で高齢の母一人に見させている立場の私にとって、日頃から背中にくっついて離れない後ろめたさを猛烈に突いてきた。だから思わず声をかけたのかもしれない。数年前の私だったら、声をかけていたかどうか、ちょっとわからない。無視して通り過ぎる人も多かったけれど、その人達の事も何とも言えない。



これは困ってるご老人を見たら助けましょう、或は助けない人なんて人じゃない!
なんて全うな事が言いたいわけでは決してありませんので念のため。
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by sakamotochiaki | 2007-10-29 14:22 | ◎こんな日々 | Comments(0)