素晴らしい気分です。

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「あと何回、季節の変わり目を感じられますかね。」

今夜は素晴らしい気分です。キセルのマジックアワーツアー最終日、渋谷クアトロに行って来たのです。
天気は朝から雨だったけれど、春の優しい雨もまた、キセルライブの呼び水の様なものに感じ、普段ならば絶対に行きたくない金曜の夜の雨の渋谷へ向かうのも、俄然ウキウキ心でスキップ。
以前、横浜開港記念会館で催されたキセルとcaravanが出演したイベントを観に行った際、開場前に外で並んでいると、後方にいた女子二人連れが、イヤホンやヘッドフォンをしながら開場を待つ人達を見て、
「今ここで皆がキセルかcaravanを聴いていると思うと不思議だね〜」
「そうだね〜」
とか何とか言っているのを小耳にはさみ、ああ、つくづくこういう女子ならではの思い込みというか、決めつけというのは嫌だなあ、だいたい何故「皆」と決めつけるのか、あの青年は「ヘビメタ」を聴いているかもしれないし、あちらの娘は「志の輔落語」を、そのまた向こうの娘は「福山雅治」を聴いているかもしれないじゃあないか、ライブ前に皆が絶対そのミュージシャンを聴いているとは限らない、逆に皆同じなんて気持ち悪いじゃあないか、と天の邪鬼な文句を心で垂れていたのだけれど、今日はクアトロ前で思いっきりキセル聴きまくりの私なのだった。あん時の女子、心でとはいえ、文句垂れてゴメン。

話が思い切り逸れてしまった。ともかく今夜は素晴らしい気分です。
セットリストは最新アルバム『magic hour』を中心に、タワレコ予約特典CDに収録されている『くちなしの丘』(原田知世への提供曲)のセルフカバーと『イギリス海岸』、ライブではお馴染みの細野晴臣の『四面道歌』のカバーもしっかり盛り込まれ、さすがワンマン、何とも充実した内容だった。こうしてCDとはまた異なる流れで聴く事により、改めてこの『magic hour』というアルバムの1曲1曲が、どれも素晴らしく魅力的であるという事がよくわかり、中でも生で聴ける日を心待ちにしていた『眠る人』のイントロが流れた瞬間、その歌い出しの呼吸と、世界が、深く深く心に沁み込んで、思考は遠くどこかへ飛ばされていく様だった。
冒頭に書いたキセル兄のMC中の何気ない一言に、彼の生み出す素晴らしい言葉達の一端が垣間見えた様な気がした。本当にあと何回、この何とも言えない空気を味わえるのだろう。キセルの音楽は、そんな微かだけれど確実に皮膚に感じ取れる空気の変化の様だ。その微妙な皮膚感覚のせいで、嬉しくなったり、悲しくなったり、懐かしくなったり、切なくなったりする。こういう人達はなかなかいない。本当に貴重だと思う。

サポートメンバーのエマーソン北村さんや、北山ゆうこさんも素晴らしかった。スピーカーの目の前だったので、エマーソンさんはほぼ見えなかったのだけれど、音は逃さず堪能。北山さんの表情豊かなドラムも、実際の表情もとーっても素敵で、弟君のベースと共に全身で聴き、実に気持ちが良かった。

思えば、私が初めてキセルのライブを観たのが2年前で、それから7〜8回目くらいライブになるのだけれど、毎回「過去最高」と思えるのも凄い事だ。なかなか出来る事じゃない。途中で兄が「キセルの売りはなんだろうと思って曲作りをしていて、まあ、『兄弟』って事くらいなんですけど」という様な話をしていたけれど、それはしかし、ある意味核心ではないかと思う。キセルのHPの特設ページに掲載されている柴山伸二さん(『渚にて』)から寄せられたメッセージがまさにそれを指摘されている。
(以下コピペ)
『キセルの兄弟バンドって、それだけで特権的なスタンス。だって自分の意志だけじゃできないコトだからね。そういえばスパークスとかキンクスって、どこか微温的な密室感覚の魅力があった。キセルに もそんなところ、あるよね。同じ母親の温もりと同じ家の匂いを 共有して育った兄弟が、やがて志を同じくしてバンド結成に至った時、どこかにマジックが宿るのかもしれない。「マジックアワー」ってそういうことかもしれないね。』
これを読んだ時、何だかとても合点がいった。そして一人っ子としては無性に羨ましかった。キセルの、キセルにしか出来ない音楽は、奇をてらわずとも、生み出されたそれが、彼らの音楽となるのだなあ。なんと素敵な事だろう。だからこそ、彼らはレーベル移籍を経ても、どんな場所に出向いても、ゆるぎない姿勢でいられるのじゃなかろうか。彼らを見ていると、その選択の正しさにも感動する。惑わされてばかりの自分を恥じつつも、勇気を貰う。

それにしても、ますます来月の追加公演が楽しみになった。場所はまたまた横浜開港記念会館。あの素晴らしい空間で、キセルのワンマン、楽しみすぎる。
今夜のライブで、想像力と創作意欲をかき立ててもらえたので、また明日から作品に向かい合える。本当に素晴らしい気分です。


※ちなみに『Magic hour』とは本来は映画の撮影用語で、日が暮れてからそれでもまだ明るさが残っている短い時間帯に凄くキレイな映像が撮れる時間帯の事だそうです。キセルの世界観にぴったりのタイトルです。

オマケに昨日刷った版画↓初めて「よし」と思えるものが一点出来ました。
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by sakamotochiaki | 2008-03-15 04:36 | ◎こんな日々 | Comments(1)
Commented by sakamotochiaki at 2008-03-15 10:46
セットリストを拝借してきました。
途中まで覚えようとしていたのに、何ですか、
曲がすべからく素晴らし過ぎて、全く記憶しきれませんでした。
改めて見ていて、一曲一曲の感動を思い出しました。
4人編成のすごーく良かったけれど、
アンコールで2人になった時も すごーく良かった。
やはりキセルは凄いなあ。


1.「マジックアワー」
2.「春の背中」
3.「手紙」
4.「枯木に花」
5.「サマーサン」
6.「同じ夢」
7.「四面道歌」(細野春臣のカバー)
8.「君の犬」
9.「緑の日」
10.「窓辺」
11.「眠る人」
12.「写真」
13.「くちなしの丘」(原田知世のセルフカバー)
14.「ビューティフル デイ」

アンコール
1.「ハナレバナレ」
2.「系図」(高田渡のカバー)
3.「ベガ」

アンコール
1.「春」