ぼんぼんどかん

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一日春の雨だった昨日。
出かける気も起こらないし、というか、そもそもやらねばならない事だらけなので、これ幸いと引きこもり、ひたすら机とパソコンに向かう。
そうそう、一昨日町田から帰宅して、数日前から喉の調子が良くなかったので、うがいをしたら、直後声が出なくなってしまった。というのも、言ってみれば「これ幸い」の1つか。今朝はなんぼかましだけど、つい調子づいて出る鼻歌はまだ無理。高音は息しか出ないので鼻歌ならぬ鼻息。

漫画欲がメキメキと上昇する春、新たな漫画を入手する時間もないため、久々に坂本文庫の中から新井英樹の『THE WORLD IS MINE』を読み始める。正直、うららかな春に読む漫画でもなんでもないが、最近知人の先輩イラストレーターの方が、入院先で初めて読まれて「面白かった」と言っていた、というのを小耳に挟み、正直、病院で読む漫画でもなんでもないと思うが、「だよなー、やっぱりTWIMは、すっげい漫画だよなー」と自分の事の様に嬉しくなった。そしたら無性にそれを確認したくなり、就寝前に寝床で読み始めている。

この作品を知った時は既に、漫画誌での連載自体はとっくに終わっていた。当時私がたまたま連載させて頂いていた某音楽雑誌で、担当の編集さんが書いた漫画評に、何か引っかかるものを感じ、翌日近所のブックオフでこの作品を手にした訳なのだが、その時はもー絵柄がむぬ凄く苦手で「…これは最後まで読み切れないかもしれない」と躊躇し、全14巻であるところ半分の7巻まで購入したのだが、その日深夜遅くまで読みふけり、布団で号泣し、一度寝たはいいが、続きが気になり過ぎて朝5時頃目が覚めてしまい、そのまま続きを読み、朝から嗚咽。そして目を腫らしたままブックオフに駆け込み、後半全て購入とあいなったのだった。あんなに漫画に心が動揺した事も無かったし、読み終えてしばらくは頭から離れず、架空の漫画のキャラクター達に思いを馳せ、思い出し泣いた。苦手だった絵柄は一転、魅力溢れる絵柄となった。

あ、今さらですが、読んでいない方は、何の事やらさっぱりだと思うので飛ばして下さいね。(遅)

思えば、前半物語の舞台にもなる青森出身の私を、「とうほぐ弁=ザ・田舎者言語」というしがらみから開放してくれたのも、この作品だった。むしろ素晴らしい響きを持った言葉だという事を教えてくれた。秀逸過ぎるネームの数々を一層強調しているのが「とうほぐ弁」(と関西弁もだが)である事も勝手に誇らしく感じた。困難だと思われる独特の発音や表記が忠実で、一般的にはちょっと読みづらいのではないかと心配してしまう程で、お陰で私は余計に臨場感を味わえたのだが、日頃ドラマや映画などに見られるテキトーな「とうほぐ弁」(田舎者を強調したいだけの)とは、それほど全く違っていた。故に、てっきりネイティブスピーカーかと思いきや、新井氏自身は東京出身で、それにもまた驚かされたのだった。

トシモンという前代未聞の大量殺戮を繰り返し日本列島を北上する2人組と、南下する荒唐無稽の謎の巨大生物ヒグマドン(この笑えるネーミングが、余計に恐ろしくてシビレるのだが)の交錯、トシの描写の移り変わり(これ、最初は長期連載で画風が変化したのかと思いきや、ちゃんと意図的なものとわかり土下座)、トシと謎多き野獣背中毛男・モンの出会いと、そこに至るまでのそれぞれのルーツ、サブリミナル効果の様に細々と差し込まれる伏線の数々、それら全てが繋がる後半、ヒグマドン退治に雇われた最後のマタギ・飯島猛の名言の数々、まさに聖母なマリアの存在、それぞれ一筋縄ではいかないキャラクター達などなど、あげればキリが無いが、みっちりと詰め込まれた全てが必要不可欠で意味がある。
特にトシは、本当に悲しいキャラクターだった。彼の事を考えると、しばらく気が滅入った。迷いながらも、漫画友でもある山田美容室の山田さんにドサッと貸して、長ったらしく感想メールをやり取りした時も、やはりトシの話が中心だった。決して弁護の余地のない人間ではあるけれど、トシは恐らく一番人間らしい人間で、中では一番同調しやすかったのかもしれない。だから誰からも救われず、自分からも抜け出せず、最低最悪の道を歩んだトシが、ひどく悲しかったのだと思う。

この漫画は、とにかく沢山の人々が死ぬ。何の罪も無い人々が次々とあっさりと、ドカンドカンと、ザックザックと死ぬ。年齢性別も関係ないし、皆ある意味平等にあっさりと、木っ端微塵になる。その中に死なねばならなかった人は誰1人居ない。それぞれが、それぞれの人生を営んでおり、それが良くも悪くもずっと続くつもりで生きていて、それが一瞬で強制終了させられる。血が沢山流れ、その匂いに自分が取り込まれてしまいそうになる。それだけで、この作品を毛嫌いする人は多いだろうし、実際、こんなに大好きであるにも関わらず、私も読むのはかなり辛い。十分な体力を要する。でも読めば読む程、これは現実だと思う。フィクションではあるけれど、根源的な部分で現実を描いている。ヒグマドンなどという、「んなアホなー」な「怪獣」が現れるが、少しも陳腐さは無い。それどころか、我が家のベランダから見える道の先に、大暴れしてビルをなぎ倒し、電柱を踏みつぶし、こちらに突進してくるヒグマドンを想像して、しばし呆然とする。(つくづく危ない36歳だが)

まだ再読し始めたばかりなのに、まだこれからが過酷なのに、この作品の事を書くと長いなあ。本当にこんな春うららかな時期に読むものでも、書くべき日記でもない気がするが、しかも随分前に似た様な日記を書いた様な気がするが、まあ、スミマセン。あと全くオススメしている訳ではありません。『ダンサーインザダーク』なんかが苦手な人は読まない方が良いと思います。ただ、この漫画を肯定する人、というだけで、勝手に距離の縮まりを感じます。
真説『ザ・ワールド・イズ・マイン』、実はまだ読んでいないのだけれど、買うべきかなあ。表紙だけでも欲しいしなあ。
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そういえば、昨日みた『ゾディアック』というDVDも、殺人予告をしながら、警察、メディアを手玉に取りながら、大量殺人を繰り返す犯人と、それを追う人々の物語だったなあ。こういうのって、リンクするのかねえ。

本日はまた中野の病院に行って、先日のレントゲン結果を聞き、その足でShimachuと大工道具と木材物色の旅。うっすら晴れて来たから自転車で行けるだろうか。運動不足だから歩いて行こうか。新中野にあるチーズケーキ屋『shun』にも足を伸ばしてみようかと思う。

※イラストは内容と関係なく、現在着々とカオス化中の仕事部屋。明日、友人のお片づけクイーンHが来訪するので、それまでに何とかしなくてはーっ!

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数時間後の追記。
朝からこの様な日記をチンタラ書いていたせいで、すっかり時間が遅くなり、慌てて自転車漕いで中野に向かったところ、大久保通りにて、何十年ぶりか?って程に大胆に、派手派手しく、アメフトのタックルよろしく転倒。ズザザーッ!!!て。肘膝強打して、痛みに耐えつつ、病院に到着するも既に午前の受付終了。そもそも担当医不在日。何やってんでしょうか、私。うなだれてShimachuをひやかし、Shunのチーズケーキだけ買って帰宅。せめてカオスの掃除をします。

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明けて22日追記。
昨日、急きょ前ノリで我が家にやって来てくれたお掃除クイーンH(良かったよ、帰って掃除しておいて)も、我が家に来る途中、新高円寺駅の階段にて結構な高さから転倒したという。ズザザーッ!!!て。「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたのは2〜3人だったらしい。三十過ぎると世間は冷たいね。何にしても、生き別れの双子の姉妹か?ってな感じで、足に同じ青あざこさえた我々による、本格的な版下制作作業は今日一日の頑張りにかかっているのだった。ザ・満身創痍。
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by sakamotochiaki | 2008-03-21 10:47 | ◎こんな日々 | Comments(0)