2008年 05月 20日
今日見たいいもの |
今日、新宿の丸井前の車道で、正確には歩道と車道を隔てるガードレールの陰で(つっても、スカスカしたやつなので丸見え)、腰の部分から二つ折りの姿勢で立ち、一心不乱に「納豆」をかき混ぜるホームレスのオッサンを見かけた(図参照)。
なぜ納豆。なぜ此処(丸井前、往来、車道)で。なぜつらそうな姿勢のまま(せめて座ったらどうか)。なぜ一心不乱。瞬間的に視界の端に捉えて通り過ぎてしまったので(立ち止まれないし、戻ってもう一度見る訳にもいかんし)、頭は「なぜ」で埋め尽くされたのだけれど、その光景は殆ど何か怪しい儀式の様だった。まあ、つい最近まで「納豆は一切かき混ぜない」派(別名タモリ派)だった私からすれば、納豆をかき混ぜるという行為自体が、どこか儀式めいていると思えるのだけれど。空は黒く重たい曇天で、今にもポツポツと来そうだったし、一心不乱はそのせいだったのか。あるいは数日ぶりの食事で、やっと手に入れた納豆だったのか。ゆっくり座る時間も惜しいほどの。屋根の下に移動する気も起こらないほどの。でも「納豆は左右50回ずつ」がオッサンのルールだったので「うーあー!!もどかしー!!」の一心不乱だったのかもしれない。
何にしろ、いいものを見た。
その後、額装オーダーしに行った世界堂では、書籍のコーナーに、プリマの様な不思議な足の角度で、一心不乱に立ち読みする男性がいた(図参照)。本人的には実に「しっくり」いっている様だった。いいものを見た。でもその後、世界堂の前の道を、強風の中、持っていたビニール袋を風でパンパンに膨らませながら走る彼を見かけたので、ちょっと変な人だったやもしれない。まあ、イイ歳の男性で、短パンにソックスって所が、そもそも微妙だったが。
話は違うけれど、先週、久しぶりに実家に電話してみた。
例によって居留守電の父が、ようやく出てくれたと思ったら、いかにも寝起き声で「昼寝をしていた」という。あーあ、この人、またソファでテレビ見て、眠くなったら寝て、起きたらテレビ見て、を毎日繰り返しているんだわーと思ってガックリして、「たまには外に出て歩いた方が体のためだよ」と、これまで何度言っているかわからない小言を垂れようとしたら「さっき一時間ほど歩いてきた」と言う。どびっくり。それで疲れてウトウトしてしまったらしかった。
「午前中にドラマ(タイトル不明)の再放送があって、2時からは藤田まこと(『はぐれ刑事』再放送)だから、その間に歩かないといけない」と、相変わらずテレビ中心の生活には違いないが、これまでの引きこもりぶりからしたら凄い変化だ。さらに
「お父さんねー、27日に老人会の日帰りバス旅行に行くからー」
と言う父。どびっくりの二乗。普段は「俺」なのに何故突然「お父さん」なのか、て部分にもどびっくりだが、いやいやそんな事より、老人会?バス旅行?これは幻聴か?思わず何度も確認してしまう。
今まで「あんな年寄りばかりの集まり(ケッ!)」と馬鹿にして、絶対に参加しようとしなかった老人会の、病気をする前から元々嫌いだった旅行(だから我が家は家族旅行というものに行った事が殆どない)に、さらに大っ嫌いな温泉がオプションとして付いているというのに、それに「行くんだー」と確かに父は言う。しかも、ちょっと嬉しそうな雰囲気すら受話器越しに感じ取れる。いったい父に何が起こったか。いや何が起こったとしてもいい。気まぐれでもなんでもいい。これは父にとって大きな転機だ。引きこもり青年が何年ぶりかに玄関のドアを開けて、一歩踏み出すくらいの凄い勇気だ。少し大げさか。でも凄い凄い。気分良く電話を切る。
後日、母からメールが来たので「お父さん、日帰り旅行行くらしいじゃん。凄いねー!」と返信したら「私もさっき聞いてビックリ!」だって。離れて暮らす娘より後に知る妻ってどうなの。とことん会話の無い夫婦にも困ったもんだよ。
さて、少しずつ通常生活に戻りつつ、しかし何やかやと忙しい。25日に急遽近所のフリマ出店も申し込んでしまったし。二人展絡みのモノが、まだ床を埋め尽くしているというのに、フリマに出す不要品もあふれかえっている。ああ、こうしてパソコンの前の椅子の上に座って、部屋を見渡すと、浮き島みたいな気分になる。 おーい、だれかー。
そんな中、昨日午前中ヨガのワークショップに参加したら、全身筋肉痛(ストレッチの様な優しいものばかりだったのに、ヨガ恐るべし)で、何をするにも痛いのも困ったもんだ。せっかくナイキのヨガマットを激安で入手して、ハリウッドセレブ気分(はあ?)だったが、体はやっぱり最下層だったらしい。
by sakamotochiaki
| 2008-05-20 00:14
| ◎こんな日々
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